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(Since 2002-10-27)
(Updated on 2005-05-16)


おすすめ本のページ

本の内容は読んでみないと内容は分かりません。良い本を読めると幸せになります。でも、自分自身で良い本を探し出したことは少なくて他人からの紹介がほとんどです。以下の本は、これまで私が出会った本の中で、おすすめの本です。
多くの本は入手可能だと思います。普通の本屋さんで入手できない場合は古本屋を探してください。
本のデータは、「書名,著者(あるいは編集者),出版社,価格(税別)」の順です。

ここに書いている本以外でも、いい本は沢山あると思います。次の検索フォームでキーワードを入力して検索してみてください。


目次(大雑把に本を分類しました)
| 論文の書き方 | 生態学 | 統計学 | R | 科学 |


論文の書き方

  • これから論文を書く若者のために,酒井聡樹,共立出版,2500円(+税)
    この本は、植物のかたちとあわせて読むことをお勧めします。
    この本では「論文では何を書くべきか」について書かれています。初めて論文を書く時は何を書けばいいのかがわからず、我流で書きだすことが普通でしょう。でも、論文には論文の書き方があります。それを分かりやすく解説したのがこの本です。
    誰でも分かっていそうなのに、ついついやりがちな失敗例も多く載っています。また、重要なところではチェックリスト的な表があるのも役立ちます。論文を書くときには手放せない本です。当然、卒論や修論を書く前に読んでおいても損はありません。
    また、論文を書いたことがある人にとってもお勧めします。論文を苦労して書いたことのある人ならば、さらに内容を理解してよりよい論文を書くことができるでしょう。

  • 理科系のための英文作法(中公新書624),杉原厚吉,中央公論社,660円(+税)
    分かりやすい文章とはどういうものか?他人の文書を読んで、それが分かりやすいかどうかは比較的客観的に判断できますが、自分の文書の場合は判断しにくいものです。
    しかし、客観的な基準があれば、自分の文章に対しても判断できるようになります。その際に、本書で述べられている「古い情報から新しい情報へと進む」という「談話文法」の規則に従っているかどうかという判断基準を持つことで、客観的に分かりやすいかどうかを判断することが可能です。本書は、この他にも次のような判断基準を与えてくれます。
    ・書き手(あるいは読み手)の視点を一定に保つこと
    ・道標を適切に配置すること
    ・文法上の入れ物と意味の内容を一致させる
    ・定義は定義と分かるように記述する
    ・一つの文の中には新しい情報は一つだけしか書かない
    上記の判断材料は、英文だけでなく日本語でも同様のことが言えます。そのため。日本語の論文を書くのにも役立ちます。

  • 理科系の作文技術(中公新書624),木下是雄,中央公論社,699円(+税)
    『理科系の作文技術』は、まず「目標規定文」を書くことを薦めています。目標規定文は、論文に書くべきかどうか迷った事実や意見の取捨選択の判断基準となるからです。また、事実と意見とを(誰が見ても)区別できるように記述する必要性を述べ、事実と意見との書き分けについて例を用いて説明しています。この他にも、パラグラフの構成やはっきり言い切る姿勢などについて説明しています。論文を書くときに非常に役に立つ一冊です。

  • 「超」文章法(中公新書1222),野口悠紀雄,中央公論社,780円(+税)
    文章を書くときには主張を明確にして焦点を絞って書きないさい、という内容の本である。当然といえば当然なことである。しかし、論文ではいろいろと言いたいことがありすぎて、結局何を言っているのかが良く分からないことがある。
    文章を桃太郎などのおとぎ話にたとえて、どこでどんなことを書かなければならないかを述べています。これはなかなか面白い説明の仕方です。

  • 日本語の作文技術,本田勝一,朝日新聞社,420円(+税)
    日本人なら日本語の文は書けて当たり前です。ただし、日本語の文が分かりやすいかどうかは別の問題です。『日本語の作文技術』には、修飾語の順序や「、」を置く位置などと文の分かりやすさとの関係について、書かれています。第6章までの前半部分では文を作る技術について、例文を用いて説明されています。第7章以降の後半部分では文章の書き方について書かれています。ただ、論文を書くときにはあまり参考にならないかもしれません。文章の書き方、つまり文と文とのつながりをうまくつなげる方法については、『理科系のための英文作法』が役に立ちます。

  • Judy 先生の英語科学論文の書き方,野口ジュディー・松浦克美,講談社,3800円(+税)
    怪しげなタイトルですが、いい本です。
    「どこに何を書くか?」について、論文の各項目で書くべき項目とそれを書くときに注意する点がそれぞれ書かれています。英語の論文だけでなく、日本語の論文にも当然通じる内容です。
    使えるCD-ROMもいいです。CD-ROMが付属していて、本文がそのまま収録されています。検索すればすぐに欲しいところが出てきます。また、よく出てくる英単語約500語を使った例文集もあります。


    生態学

  • 蝶のきた道,日浦勇,蒼樹書房,1800円(+税)
  • 海をわたる蝶,日浦勇,蒼樹書房,1600円(+税)
    蝶の分布・形態・系統関係などと植生との関連から歴史を組み立てていく面白さを感じた。本を読み進めると著者の思考回路を、一緒にたどっていける。自分自身だけでは絶対にたどることのない思考の過程だ。その思考の過程にどんどんと引き込まれる。何よりも地道な研究の重要さを感じる本である。また、どのような根拠を持って、どのように考えたのかが書いているのもすばらしい。結論が書いてあっても途中の推論が分かると再検討することも可能だからである。

  • 群落の組成と構造,伊藤秀三(編),朝倉書店,6000円(+税)
  • 群落の分布と環境,石塚和雄(編),朝倉書店,6000円(+税)
  • 群落の遷移とその機構,沼田真(編),朝倉書店,6000円(+税)
  • 個体群の構造と機能,小川房人(編),朝倉書店,6000円(+税)
  • 個体群の機能と生産,岩城英夫(編),朝倉書店,6000円(+税)
    長らく絶版になっていた朝倉書店の植物生態学講座の5冊が揃いました。古本屋でも入手することができず、復刊ドットコムに登録したところ、反響が多かったため一気に復刊をすることができた本たちです。
    すべて植生学を研究する人間にとっては必須と言える内容です。特に「群落の組成と構造」は群落の種多様性・構造・生活形・地下器官について、詳しく解説されています。書かれたのはずいぶんと前ですが、内容的には現在でも必要不可欠なものばかりです。

  • 群集生態学,宮下直・野田隆史,東京大学出版会,3200円(+税)
    10年ほど前に、群集生態学入門というのが出版されています。でも、気づくと絶版になっていました。群集生態学の教科書的な本が少ない中で、この本は群集生態学に関する入門書としてよくまとまっています。基礎的な(古典的な)内容だけでなく、最近の話題もほどよく紹介されています。さらに、「さらに学びたい人へ」ということでこの本を読んだあとに読むべき本も紹介されているのも便利です。

  • 生態学概説,R.H.ホイッタカー(著)・宝月欣二(訳),培風館,4500円(+税)(たぶん絶版)
    絶版になってしまっているようだが、生態学の入門書としては幅広い内容が紹介されていて、良い本です。大学の図書館などにならおいている場合が多いと思います。少し古い本なので、当然ながら最近の話題は載っていません。ただし、生態学の基礎的な知識を学ぶのにはもってこいでしょう。
    図表のリストが目次のすぐ後ろにあるのが、役立ちます。

  • 北の国の雑木林 ツリー・ウォッチング入門,菊沢喜八郎,蒼樹書房,2300円(+税)
    高木・低木などさまざまな樹種についての展葉・落葉を調査して、その結果から考えられる最適な展葉様式と生育場所などとの関係について書かれています。
    内容とは直接関係ないですが、非常に地道ではあるが毎日毎日積み重ねた豊富なフィールドワークを通して得た経験・思考方法がいかに重要かを感じさせる1冊です。

  • 植物のかたち,酒井聡樹,京都大学学術出版会,2300円(+税)
    この本は、これから論文を書く若者のためにとあわせて読むことをお勧めします。
    『これから論文を書く若者のために』では論文の書き方が分かりやすく解説されています。それに対して、『植物のかたち』では、研究過程での失敗や試行錯誤がいろいろと書かれています。両方を読むことで、研究の過程から論文を書くまでについて、さらに理解が深まると思います。


    統計学

  • 生物学を学ぶ人のための統計のはなし,粕谷英一,文一総合出版,2400円(+税)
    最近は無料の統計解析のソフトもあるので、検定を簡単にできます。簡単に検定できるのはいいことです。でも、検定の基礎的なしくみを知らずに、単にブラックボックスとして検定をしていると、検定方法の選択の間違いをすることがよくあります。そのような間違いは、「検定というものはこういうものだ」ということを理解していれば防ぐことができます。その点で、この本は「検定の方法」ではなく、「検定の理屈」を書いてあり、「目から鱗」の一冊です。

  • らくらく生物統計学,足立堅一,中山書店,3200円(+税)
    この本はパラメトリックな方法を主体にして、その考え方について詳しく掘り下げて解説しています。特に、母集団と標本、標準偏差と標準誤差などの「わかったような、わからないような」統計用語のもわかりやすく説明されています。

  • 実践としての統計学,佐伯胖・松原望(編),東京大学出版会,2600円(+税)
    統計学の手法についてはほとんど書いていません。数式も少しは出てくるが、ほとんどは統計学の根本的なことを言葉で説明しています。他の統計関係の本が統計手法の使い方に主眼を置いているのに対して、実践を前提としつつも統計の根本的な考え方や問題点が書かれています。ただし、内容的の全体を理解するにはかなりの労力が必要です(私は全体は理解しきれていません)。

  • 生物学の考える技術(ブルーバックス1086),Chirs Barnard/Peter McGregor/Francis Gilbert/近藤修(翻訳),講談社,900円(+税)
    詳しい統計の手法については、詳しく書いていません。ただし、生物学関係の具体的な例を使って説明をしているので、生物学を専攻している人にとっては大変分かりやすくなっています。また、巻末の「検定法をみつけよう」は検定の初心者にとっては、すごく便利です。

  • 生物群集の多変量解析,小林四郎,蒼樹書房,3200円(+税)(絶版)
    多変量解析という本の題名になっていますが、いわゆる重回帰分析や判別分析などの一般的な多変量解析については載っていません。類似度指数・多様度指数の計算方法から群集の分類・座標づけまで、生物群集の解析をするのに必要な解析方法の理論と実際の計算方法が解説されています。

  • すぐわかる統計用語,石村貞夫+デズモンド・アレン,東京図書,2800円(+税)
    統計用語でわからないものがでてきたら、これで調べます。インターネットで探すのもいいですが、やっぱり本で見たいというときには

    統計解析ソフトR関係

  • Rの基礎とプログラミング技法,U.リゲス(著)/石田 基広(翻訳),シュプリンガー・ジャパン,3500円(+税)
    中身はまだ見てません。

  • S-PLUSによる統計解析,W.N.ヴェナブルズ(著)/B.D.リプリー(著)/W.N.Venables(原著)/B.D.Ripley(原著)/伊藤幹夫(翻訳)/戸瀬信之(翻訳)/大津泰介(翻訳)/中東雅樹(翻訳),シュプリンガー・ジャパン,6800円(+税)
    中身はまだ見てません。

  • R/S-PLUSによる統計解析入門,垂水共之・飯塚誠也,共立出版,2500円(+税)
    中身はまだ見てないけど、なんとなく良さそう。買ったらまた書評を書きます。

  • 工学のためのデータサイエンス入門 -フリーな統計環境Rを用いたデータ解析-,間瀬茂・鎌倉稔成・神保雅一・金藤浩司,数理工学社,2300円(+税)
    この本は統計の基礎的なことを勉強できるだけでなく、データ解析のフリーソフトであるRでの実際の統計解析の手法も学べる点ですばらしいと思います。Rについて勉強するには別の書籍やインターネットも参考になりますが、両方を同時並行的に勉強するなら、この本です。

  • The R Book -データ解析環境Rの活用事例集-,岡田昌史(編),九天社,3800円(+税)
    前半部ではRのインストールや基本的な操作方法といった内容が、初心者でも分かるように丁寧に書かれています。後半部分では実際の実用事例が多く掲載されており、すぐにでも解析のツールとしてRを利用できます。
    強いていえば、R言語についての基本+α的な内容があれば、さらに充実した内容になったかも知れませんが、これはウェブで調べればかなりの情報があるので、わざと掲載しなかった気もします。
    いずれにせよ、日本語で書かれたRについての説明としては一番まとまっていて、お勧めです。

  • The R tips -データ解析環境Rの基本技・グラフィックス活用集-,船尾暢男,九天社,3500円(+税)
    The R Bookがより実践的(応用的)な内容を扱っているのに対して、この本では基本的なところを重視して解説しています。各種関数の使い方からグラフィックスの設定までこと細かく書かれています。The R Book とあわせて使うのが効果的です。

  • Rによる統計解析の基礎,中澤港,ピアソンエデュケーション,1800円(+税)
    この本はどちらかといえば、統計解析の手法を学ぶ本です。もちろん、Rで実行する方法がひとつずつ書かれていますので、Rと統計解析を同時並行で学べます。

  • Sによるデータ解析,渋谷政昭・柴田里程,共立出版,2700円(+税)
    S言語の説明から検定・多変量解析・モンテカルロ法などの各種統計的な手法の説明までまんべんなく説明されています。

  • 使いながら学ぶS言語,渡辺利夫,オーム社,2400円(+税)
    内容的にはやや古いのですが、S言語(R言語もほぼ同じ)についての基礎的な説明はしっかりしています。

    科学

  • 論理学がわかる事典,三浦俊彦,日本実業出版社,1600円(+税)
    論文を書くときには「論理的」に書かなければならないということを感じていたので、買った本です。中身を読んでいると結構、論文を書くときの参考になりそうな点がありました。たとえば、「オッカムの剃刀」という方法論の紹介で、「同じ事実を説明できるかぎり、仮説の数は少ないほどよい」というものです。また、望ましい推論を続けるコツの例としての例なども紹介されています。

  • 都市の自然史(中公新書361),品田譲,中央公論社,360円(+税)(たぶん絶版)
    トンボ・バッタなどが都市からいなくなっていく様子をアンケート調査などから「後退図」を作成して明らかにしています。しかも、これらが自然がなくなったと人々が感じるた年代を「後退図」と重ね合わせることで、みごとに関連性を見出しているところがすばらしい。GISが無い時代でも、今のGISよりもすばらしい研究があったのだと感じる1冊です。

  • 大地の動きをさぐる,杉村新,岩波書店,2000円(+税)(たぶん絶版)
    地学の本です。私の専門の生態学とは直接関係ありません。でも、科学とはどういうものかやどういう考え方が重要かとかが随所に出てきてすごく面白い本です。

  • 「わかる」とはどういうことか(ちくま新書339),山鳥重,筑摩書房,720円(+税)
    一般的に「わかる」というのはどういう状態なのか?について書かれています。何かをわかろうとしたり、あるいは話や文章によって他人になにかをわかってもらおうとするには、「わかる」ということについて、わかっていると役に立つことでしょう。
  • 考えることの科学-推論の認知心理学への招待-(中公新書1345),市川伸一,中央公論社,660円(+税)
    帰納法という推論の方法がある。個別な具体的自称から一般的な自称を導き出す方法だ。論理構造的には同じ帰納であっても、結論の確信度は異なる。例えば、次のような場合だ。
    「スズメには尺骨動脈がある」→「すべてのトリには尺骨動脈がある」
    「ペンギンには尺骨動脈がある」→「すべてのトリには尺骨動脈がある」
    どちらも論理的には同じ構造をしているのに、(異論はあるかもしれないが)一般的なトリであるスズメからトリ全体を推論する方がもっともらしく感じる。他にも人間がもっともらしいと感じることがらについて、なぜかが説明されていて興味深い。論文を書くのにも参考になりそうです。