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(Since 2003-01-03)
(Updated on 2008-06-02)


植生調査のページ


このページでは植生調査をするときに役立つ情報について書いています.このページのほかには植生調査情報ディレクトリが役立つでしょう.


目次
研究全般
注意すること
調査心得
調査計画
| 目的 | 地域と対象 | 予備調査 | 項目と日程 | 解析方針 |
調査準備
調査道具
| 服装 | 調査票 | 調査版 | 筆記用具 | 地形図 | 空中写真 | 植生図 | 地質図 | 土地条件図 | 剪定バサミ | 根堀り | 標本袋 | ラベル | クリノメーター | 合羽 | 折り尺 | 箱尺 | カメラ | 双眼鏡 | ルーペ | 顕微鏡 | ビニールテープ | かとりせんこう | 図鑑 | GPS受信機 |
調査後
| 標本作成 | 見直す |

研究全般
分からないことがあれば(というか, はじめは分からないことだらけでしょう), 先輩に聞きましょう.たぶん, 快く相談に乗ってくれるでしょう.また, 自分が何をしなければならないかを常に自覚して, 研究を進めるようにしてください.
研究テーマの見つけ方と論文の探し方は次のページがすごく参考になります.両方とも横浜国立大学の小池さんのページです.
研究テーマの見つけ方
初めての論文の探し方
また, ここ10年ほどの主要な生態学関連の文献のデータベースを作っています.データベースのページからたどってください.



注意すること
現地調査には少なからず危険がつきまといます.私自身はこれまで, 幸運にも事故にあったことはありませんが, いつ事故にあうとも限りません.ただ, その危険性は注意や十分な準備をすることで少なくすることが可能なので, むやみと恐れる必要はありません.
リンク集 ケガなどの応急手当て,危険回避関連(国立環境研究所 竹中さんのページ)で紹介されているページが参考になります.


調査心得
野外調査時の心得として, 日本生態学会誌に書かれた次の文献が参考になります.リンクをたどって,該当ページの「本文:CiNii」というところのリンクをたどると本文が見れます.

  • 小川房人.1991.野外調査心得.日本生態学会誌,41(1),55-65.
    また, 海外調査の心得としては, 同じく次の2つの文献が参考になります.
  • 小川房人.1991.海外調査心得.日本生態学会誌,41(2),159-167.1991.
  • 小川房人.1991.海外調査心得(続). 日本生態学会誌,41(3) ,299-305.1991.

    調査計画
    調査に入る前に, まずは綿密な調査計画を立てなければならなりません.行き当たりばったりの調査では得られるはずの成果を得ることはできません.また, 十分に検討していない調査では, 目的に合致した調査や効率の良い調査ができずに, その後の研究がうまく遂行できなくなります.
    まずは, 過去の研究での調査方法を参考にしつつ, 自分の研究にに何が必要かを検討してください.このときにできるだけ, 多くのことを考慮に入れることが重要です.多くの材料を用意して, その中から必要な項目を取捨選択します.始めは自分自身で検討し, 自分自身ではこれでいいだろうというところまでいったら, 他人(多くの場合は先輩や教員)に調査計画を見せて, 議論したり, 意見を聞くとよいでしょう.その結果を受けて, 調査計画を修正・改善していき, よりよい調査計画にする.他人の意見を聞くということは, 一回で終わるかも知れないし, 数回必要かも知れません.
    具体的に検討する項目は以下のとおりです.

  • 調査目的
    調査目的が決まっていなくては, 調査は始まらない.調査の目的を設定するには, 研究の目的が明らかでなくてはならない.研究の目的をどう設定するかは 「これから論文を書く若者のために」 を参考にして決定するといいでしょう. 調査は, 研究の目的を達成するために必要な資料を得るために行います.とはいっても, 研究の目的を達成するために必要なものは沢山あり過ぎます.既往の研究で明らかになっていることや, 他人の調査資料によって述べることができる部分は, 改めて調査する必要ありません.研究の目的を達成するために必要十分な資料を得るために, 調査をします.

  • 調査地域と対象
    研究対象とする調査地域はどこか?日本全体か?関西地域か?兵庫県内か?六甲山地か?などと, 調査地域をまず考える必要があります.さらに, 調査地域だけでなく, 調査対象を選定しなければなりません.具体的には, 全ての植生か?森林群落か?草本群落か?特定の植物が優占する群落か?特定の土地利用に成立した植生か?などです.

  • 予備調査
    これは, 検討する項目というより検討する方法です.本調査を効率的に行うのに, 予備調査は欠かすことができません.
    予備調査は, もちろん海外調査や遠隔地の調査で, 本調査でしか現地に入れない場合は別です.ただし, その場合であっても, できる限りの情報収集はあらかじめしておきます.調査道具の準備はもちろん, 現地での移動手段・移動に必要な時間を確認しておきましょう.さらに, 地形図や空中写真では得られない情報を確認します.例えば, 調査対象にしようとしているところが, あるかどうかなどです.せっかく調査しようと思っていたのに, 本調査に行ってみたら森林が伐採されていたとか, 開発されて跡形すらなくなっていたということがありえます.また, 共同研究者や知人がいるのであれば, その方に情報収集のお願いをするとよいでしょう.事前に調査対象の既往の研究や植物誌に目を通しておくことも役立ちます.

  • 調査項目と日程
    予備調査を踏まえて, 本調査の計画を立てます.研究の目的を達成するために必要な調査項目を確認します.植物社会学的植生調査が必要なのか, 毎木調査が必要なのか, ある特定の種の分布を調べればよいのか, などです.また, それに付随して, どのような環境経度を計測するのかを検討しましょう.具体的には標高・斜面方位・谷筋からの距離・土壌硬度などです.
    さらに, 調査の期間・人数・回数などを決定します.悪天候によって思い通りに調査が進まないことがあるので, 予備日を設定することを忘れないようにしましょう.

  • 解析方針
    可能であれば, いやできる限り, 調査にかかる前に解析の方針を決めておきます.解析の方針が決まらなければ, 調査項目や必要な資料数が決まりません.ある植物はある環境経度に沿って出現頻度が高くなる傾向があるということを明らかにする場合と, ある植物がAという立地とBという立地とでは出現頻度に差があるということを明らかにするのとでは, 調査方法が全く違ってきます.
    また, 必要資料数の検討を事前にしておく必要があります.調査をしたものの, 資料が足らずに再度調査に行かなくてはならないというのでは, 二度手間です.逆に必要数の2倍も3倍も調査をするのは効率が悪いことです.最低限必要な調査資料数よりも少しだけ余裕がある程度がいいでしょう.
    統計学の勉強は, 群馬大学の青木さんのページ(おしゃべりな部屋)の中の統計関係のページや統計関係の書籍で紹介している書籍でしてください.

    現地調査の準備
    植生学などの現地調査をする学問では, 現地調査にどれだけ行ったか・何を見てきたかということが重要です.機会がある限り, 現地調査に行って自分の目でいろいろなことを見ましょう.
    自分の調査に行くときには, 必ず調査に来てくれる人に対して 調査の目的・調査方法・調査場所 などを分かってもらうように事前に説明しておきましょう.A4一枚でもいいので要点を書いて読んでもらうだけで, 調査の効率・精度が違ってきます.自分が初めて行く調査地の場合なら, その場所の植生を文献で調べておいて, 出現しそうな種のリストを作ることも必要です.当然そのリストは調査に来てくれる人にも配ります.
    他人の調査に行くときには,  目的・方法・場所 などを調査者に確認する必要があります.何の調査なのかをできるだけ考えて調査しましょう.自分自身の向上のためにも役立ちます.
    調査に行く前には, 調査地までの交通の下調べも忘れずに.調査地にたどり着くのに時間がかかってはもったいないことです.道路地図や地形図でよく道順などを確認しておきましょう.
    また, 調査をする上では, 無理な調査はしないように注意しなければなりません.これは, 調査をしているときにはついつい忘れがちです.無理な調査をするとどうしても調査の精度が悪くなります.また, 事故の原因にもなりかねません.
    調査道具は下のリストを参考にしてください.


    調査道具
    調査道具として, 必需品は次のようなものがあります.これ以外にも, 泊まりの調査のときには, 標本作成用の新聞紙や野冊なども必要です.
    虫刺されや棘のある植物による怪我を少しでも少なくするには,長袖・長ズボンが必須です. 特にススキが優占する草原では,葉の縁で手や足に切り傷をしやすいので,長袖・長ズボンでないと調査は困難です. また,草原の調査では手首周辺に切り傷がたくさんできて後で痒く(痛く)なるので,手袋をしたほうがいいでしょう. ただし,普通の手袋や軍手だと植物の同定や調査票の記入に支障をきたすので, 手のひらは薄いゴムの滑り止めで手の甲の部分はメッシュのもの (例えば,ケミソフトぴったりブルー) が便利です. このような手袋だと,調査票の記入もそのままできるし,植物の同定にもそれほど支障にはなりません.

  • 調査票
    調査票は, 調査の目的・調査項目によって異なります.一般的な植生調査だったら, 既存の調査票でもいいでしょう.独自の調査項目がある場合はあらかじめ項目を追加しておくとか, 独自の調査票を作るなどが必要です.

  • 調査板
    コクヨのページで見るとクリップボードの名称になっています.文房具屋で買いましょう.調査票がB5であっても, 手を置く余白部分を考えると, ひとまわり大きいA4サイズが便利.
    私の所属していた研究室では, 「調査板」と呼んでいました.でも, 他の研究室では「画板」と呼ぶこともあるそうです.

  • 筆記用具
    学生の時は消しゴム付きのシャープペンシルを愛用していました.今はめっきりボールペンを使っています. 消しゴム消せるボールペン(eraser.max)というのを購入したので, 試用中です.少しインクの擦れが気になるものの, 全体としてはまずますといったところ.時間がたつと消えなくなるらしい.

  • 調査地の地形図
    国土地理院発行の1/25,000と1/50,000地形図は大きな本屋さんに行けば手に入りいます.今は国土地理院の地図閲覧サービスから1/25,000地形図を閲覧することが可能です.1/2,500地形図は市町村役場に行けばだいたい購入することができると思います.

  • 調査地の空中写真(航空写真)
    国土情報ウェブマッピングシステム(国土交通省)では, カラーで高解像度(400dpi)のものが閲覧可能.ただし, 写真は古いものが多いのと, 欲しい場所がどこなのか分かりにくい.ウェブマッピングシステムカラー空中写真の閲覧へと2つの入り口があります.空中写真の場所をうまく選ぶには, 後者よりも前者の方が使いやすい.タイトルに騙されないようにしてください.
    空中写真閲覧サービス(国土地理院)は, カラーと白黒のがあります.画質はそれほどよくありません(200dpi).比較的新しい写真があります.
    オルソ化空中写真ダウンロードシステム(国土交通省)では, オルソ化空中写真(空中写真をひずみの無い状態にして, 地図にそのまま重ね合わさるようにしたもの)がダウンロードできます.ダウンロードしてみたが, 使い方がいまいちよく分かりませんでした.

  • 調査地の植生図
    環境省の自然環境保全調査結果の一つである植生図が植生調査 情報提供ホームページで見ることができます.植生図整備状況図の着色部分が閲覧可能な範囲です.

  • 調査地の地質図
    産業技術総合研究所シームレス地質図データベースでは, 20万分の1の地質図をネット上で見ることやダウンロードすることができます.ネット上で見るには専用のソフトをインストールする必要があるようです.

  • 調査地の土地条件図
    国土地理院の2万5千分1土地条件図のところから土地条件図を閲覧することができます.ただし, まだ公開している範囲が少なく, 都市部に限られています.

  • 剪定バサミ
    植生調査には必需品です.標本の採取や歩くときに引っかかる木を切ります.約2,500円.
    岡恒の剪定バサミが最高です.切れ味が悪くなったら, 刃物屋さんで砥いでもらいましょう.1,000円ぐらいで砥いでもらえると思います.

  • 根掘り
    スゲ類などの標本をとるときに便利です.約1,500円.

  • 標本袋
    薄い袋だとすぐに破れるので, 厚手のビニール袋がいいです.どうしても厚手のものが手に入らない場合は, 予備をたくさん持って行きます.また, 2枚重ねにするのも手です.

  • ラベル
    いわゆる豆荷札.現地では同定の困難なものや同定できなかったものに付けるラベルです.現地での同定能力の低い人(僕です)には大量に必要です.調査の規模によりますが, 最低でも200枚とか300とか大量に持っていったほうが安心です.文房具屋でも調達可能ですが, ホームセンターなどで買った方が大量に安く仕入れることができると思います.

  • クリノメーター
    傾斜角度・方位を測るのに必要.

  • 合羽
    雨男・雨女の人は忘れずに.晴れ男・晴れ女も一応持っていったほうがいいでしょう.

  • 折り尺
    折畳式のメジャーです.草原の調査の時にはすごく便利.
    「ファイバー折尺」(品番78605)(シンワ測定株式会社のページ) はすべての折れ目のところにバネが入っていて, 90度と180度で固定できるようです.

  • 箱尺(ミニロッド)
    ミニロッドは2mのコンベックスのようなものです. 全体をケースから取り出せるので,草原では2m×2mの調査区を設置するのや群落高を測定するときに便利です.

  • カメラ
    今はデジタルカメラが主流かも知れません.デジタルカメラは被写体に接近した撮影も可能ですごく便利です.予備の電池も忘れずに.
    NikonのCOOLPIX 4500は液晶部分とレンズが独立して動かせるので, 高いところや低いところからでも撮影が可能です.
    さらに, デジカメのマクロ撮影はルーペの代わりとしても使えます(実際の撮影例:ウツギの星状毛).

  • 双眼鏡
    8〜10倍ぐらいのものがいいでしょう.レンズの口径は23〜25mmぐらいのが明るくていいです.林内や湿地などでは近くで手の届かない場合があります.そのときには近くでも焦点の合う双眼鏡が役に立ちます.また, ルーペを忘れたときには, 逆方向から見ればルーペの代わりとしても使えます.
    僕はニコンのスポーツスターというのを使っています.

  • ルーペ
    20〜30倍のものがいいでしょう.

  • 顕微鏡
    顕微鏡といっても持ち運びのできるものです.おすすめは, 松下電器のリチウムライト付顕微鏡です.倍率は可変式のようです.値段も手ごろで携帯にも便利です.僕は現在販売されているものの前の型を持っています.やや本格的なものとしては, ニコンのファーブルミニがあります.同じくニコンでファーブルというのもあります.値段と性能の違いを考えるとおすすめはファーブルミニです.

  • ビニールテープ
    標本袋の補修や目印をつけたりと, 結構役立つことが多いです.

  • かとりせんこう
    夏の森林の調査では必需品です.腰からぶら下げるものが便利です.インターネットで探したところ, 使えそうなものとしては吊下げ式 ミニかとり線香皿セット(KINCHOのページ)などがあります.

  • 図鑑
    入門者向け:検索入門 樹木(2巻セット)・検索入門 しだの図鑑
    ほとんどの場合, 葉っぱの形だけで種までたどりつくことができます.ただ, あくまで入門編なので掲載されている種はこれだけでは十分とはいえません.
    上級者向け:保育社の原色日本植物図鑑のシリーズ(草本3巻, 木本2巻)・平凡社の日本の野生植物のシリーズ(草本3巻, 木本2巻, シダ1巻)
    「検索入門」で物足りなくなったら, これらに進むといいと思います.ただ, 全巻そろえるとかなりお金がかかります.
    帰化植物:日本の帰化植物日本帰化植物写真図鑑
    野外向け:日本の野生植物 草本(フィールド版)日本の野生植物 木本(フィールド版)
    現地調査に持っていくには, これらの「日本の野生植物」のフィールド版が便利だし, 値段も比較的手ごろです.検索がついているので, 写真だけではわからない種の同定に役立ちます.
    スゲ:日本のスゲ
    スゲを同定するにはこの図鑑が役立ちます.詳細な検索があるし, 部分ごとの写真や解説が充実しています.

  • GPS受信機
    「必須ではありません.でも, あるとすごく便利です.」と当初は書いていた.でも, 今では手放せない.ほぼ必須.河川や棚田など上空の視界が開けている場所では特に有効です.僕の購入した機種はeTrex Venture 英語版で25,000円(送料込・税込)でした.精度はメーカーの仕様では15mです.

    GPS受信機はいろいろあって迷うところです.比較表その1比較表その2と予算から購入機器を決めるのがいいでしょう. 安い機種は画面のドット数が少ないのが欠点です.アンテナの精度は変わらないはずです.使ったことはありませんが, GEKO201は値段が安いのがよさそう.精度はeTrexとそれほど変わりなさそう.デザインが悪いのが欠点でしょうか.

    ところで,2007年9月以降は, 日本でもMSAS(WAAS)が使用可能です.GPSに表示される精度は最高で2m程度まで向上していますので, 精度を求める場合はWAASを有効にしたほうが良いでしょう. ただし,省エネモードでは使用できないので注意が必要です.通常では1秒間隔で衛星の電波を捕捉するのに対して, 省エネモードでは5秒間隔のようです.捕捉する衛星の数が少なくなるのと, MSAS(WAAS)の電波を捕捉しないようです.

  • eTrexでの設定項目
  • [メインメニュー]-[設定 システム]-[WAAS]-[有効/無効]
  • [メインメニュー]-[設定 システム]-[GPS]-[標準/省エネモード]

    GPSのデータは帰ってからパソコンに転送して保存しておくといいでしょう.windowsではカシミール3Dを使って, パソコン上に表示することができます.また, 地図画像プラグイン を使うと, 国土地理院が地図閲覧サービスで試験的に提供している無料の1/25,000地形図を使うことができます.地図データは地図閲覧システムのほか, 50mの日本全体のメッシュデータや90mメッシュの世界全体のスペースシャトルのデータを使うことができます.50mの標高データは『カシミール3D GPS応用編』などのカシミールの解説本を買うのがお得です(単体で日本地図センターから購入可能だが本を買うより高い!).これらの地図データと 等高線・白地図プラグイン を使えば, 調査地点図を書くための白地図を作ることができます.90mメッシュのデータは スペースシャトル地図プラグイン が必要です.

    また, デジカメの時計を正確に合わせておけば デジカメプラグイン を使うことで, GPSの情報からデジカメの撮影位置を推定できます.

    Macの場合はGPS(接続編) -eTrex+Mac/USB-に書かれている方法でパソコンに取り込めるようです.

    カシミール3Dで使用できる全世界の標高値は以下から入手可能です.

  • 30秒メッシュのデータ(カシミール3Dのページ)
  • 30秒メッシュのデータ(本家)
  • 3秒メッシュのデータ | アフリカ大陸 | オーストラリア大陸 | ユーラシア大陸 | 島嶼 | 北アメリカ大陸 | 南アメリカ大陸 |
  • 1秒メッシュのデータ(アメリカのみ) | 地域1 | 地域2 | 地域3 | 地域4 | 地域5 |(参考:アメリカの1秒メッシュデータの地域区分図)

    調査後
    調査が終わったあと, ゆっくりしてはいられません.まずは, 標本整理・同定作業・データ入力を手早くやってしまいましょう.そして, あらかじめ決めていた解析方法に従って解析します.細かなところまで解析できれば最善ですが, イネ科の植物やスゲ属の植物などで同定が手間取る場合などは, 全ての同定が終わる前に, 予備的に解析を行うという場合があります.
    万が一, 調査資料が足り無い場合や当初想定していなかった調査が必要な場合は, 補足調査を実施します.

  • 標本をつくる
    現地調査から帰ってきたら, あるいは現地調査の途中で, 植物の標本をつくる必要があります.つくり方を説明するのはすごく労力がかかるので, 次の本・ページを参考にしてください.
    「原色日本植物図鑑」の草本編(I)には, 巻末に「乾燥標本の作りかたと保存」と題して, 丁寧な説明が載っています.
    植物採集と標本の作製(岡山理科大学の星野研究室のページ)では, 標本の採取の方法から説明されています.
    標本収集から維持管理に至る作業の行程(牧野標本館)では標本のつくり方と管理について詳しく書かれています.
    牧野標本館ではタイプ標本がデータベース化されています.
    牧野標本館のシーボルト標本データベースでも標本の画像を見ることができます.
    植物屋の覚え書きのコラムである冬はシダの採集適期か?標本づくり−ちょっとした気配りでは標本作成のための注意点があって, 参考になります.

  • 見直す
    できる限り, 予備調査は行います.予備調査には調査効率を上げるという目的がありますが, 仮説が正しそうかを現地で確認するという目的があります.
    しかし, 本調査の途中や後でも, 仮説が正しくない, あるいは, 仮説を修正したほうがよりよいという場合は, 予備調査のあとや本調査の途中にでも仮説を検討しなおす必要があります.仮説はあくまで仮説であって, できるだけ現地で考えるようにします.あくまで, 現地の自然法則を明らかにするための仮説であって, 机上の仮説を検証するために現地があるのではありません.また, 調査計画と現地の状況とが異なれば, 調査計画全体を見直します.

    謝辞:このページに対して, 澤田佳宏さん(岐阜大学)から, 貴重なご意見を頂きました.おかげで内容を良くすることができました.どうもありがとうございます.